セミナーレポート 事例紹介 地域のイベントとの関わり

360名が講座受講!時間や場所にとらわれない働き方が浸透、コミュニティ形成も。3年間の静岡県事業のあゆみと成果


しずワーク(https://hosting.lancers.jp/lp/shizuwork/)より

若者の県外流出、移住者の獲得・定着、女性の活躍支援―。
こういった人口減少、地域活性化に関する課題は、多くの自治体が直面しています。「ここに住み続けたい」「あそこに移住したい」と思ってもらえる地域になるためには、居住者・移住者が働ける環境づくりが欠かせません。

近年はインターネットを活用した仕事が増えており、地方に住んでいても、育児や介護、健康上の不安があっても続けやすいことから、特に若者や子育て世代を中心に利用が広がっています。

時間や場所にとらわれない「新しい働き方」の浸透は、人口減少対策や地域活性化にもつながります。
そこで静岡県はランサーズとタッグを組み、2023年〜2025年度に「クラウドソーシングを活用した働き方の実践支援事業」を行いました。

事業では約360名が講座に参加、その多くが実際に仕事を始めたほか、県内企業のプロ人材活用が進みました。地域でフリーランスコミュニティも立ち上がるなど、事業をきっかけに参加者や企業が有機的につながりました。

どのようにして地域にこれだけの変化が起きたのか。
この記事では、3年にわたる事業のあゆみと成果をご紹介します。

「静岡県×ランサーズ」事業が始動!周知と基盤づくりからスタート

事業初年度である2023年度は事業の周知や人材育成など、県内で「新しい働き方」が浸透していくための基盤づくりとなる活動が行われました。

<2023年度の主な活動>
・きっかけセミナー
・スキルアップ講座(セルフブランディング/SNSライティング/写真・動画/仕事獲得法・単価交渉)
・フォローアップセミナー実施
・Webサイト「しずワーク」開設

「新しい働き方」を知る、学ぶ、働き始める。最初の一歩を支援

最初の活動として、インターネットを活用した「新しい働き方」を知ってもらうための「きっかけセミナー」を現地とオンラインで開催しました。
2回で合計100名以上が参加し、注目度の高さがうかがえました。

次に、インターネットで仕事を獲得するためのスキルを身につける「スキルアップ講座」を実施。「セルフブランディング」「SNSライティング」「写真・動画」「仕事獲得法・単価交渉」の4講座を各2日間行いました。
講師は現役のフリーランスが務め、講座の内容に合わせた知識はもちろん、AIなどの最新ツール、リアルな成功・失敗談などのさまざまな有益情報も提供されました。

実際に仕事を獲得できるようなフォローも開始。
講座受講生向けのフォローアップセミナーでは、オンラインを活用してチームで働く仕事を紹介する「LIFULL FaM」、実店舗での単発のお仕事を探せる「伊東マッチボックス」を案内。
また講座の案内やお仕事紹介、キャリア相談の窓口としてWebサイト「しずワーク」を開設しました。

セミナー参加者や講座受講生、公式LINE登録者など、事業に関心を持つ「しずワーカー」が最初の一歩を踏み出せるように環境を整備したことで、実際に案件に応募し、受注する人が相次ぎました。
また受講生が参加するグループチャットでは、案件応募の進捗やお役立ち情報の共有が行われ、交流も進みました。

地域で話題となり、講座応募者数が急増!人材育成と案件獲得を強化

2023年度の活動で事業が広く知られるようになり、2024年度はセミナーやスキルアップ講座の申込数が大幅に増加しました。講座は前年をふまえて内容をアップデート。
また新たな取り組みとして「お仕事相談・マッチング会」を実施するなど、人材育成と案件獲得に力を入れました。

<2024年度の主な活動>
・きっかけセミナー
・スキルアップ講座(SNS運用/オンライン事務)
・フォローアップセミナー
・お仕事相談・マッチング会

スキルアップ講座に471名が応募!受講生の案件獲得を強化

「きっかけセミナー」は昨年同様、現地・オンラインで2回開催しました。
「スキルアップ講座」は市場のニーズをふまえて「SNS運用」「オンライン事務」の2種類に変更。
また自らのレベルに合わせて選べるように「ビギナーコース」「プロコース」にコース分けしました。加えて事前学習として、全受講生にeラーニングで「セルフブランディング基礎講座」を提供し、モチベーションアップや講座の理解度アップを図りました。

取り組んできた事業の周知と基盤づくり、そして講座参加者の口コミなどの結果、セミナーには前年度の4倍となる400名以上が参加。講座には定員を超える471名の申込みがあり、「新しい働き方」を実践する人材の育成が加速しました。
2024年度は新たな施策として「お仕事相談・マッチング会」を実施。フリーランスとして働く現役のライター、グラフィックデザイナー、オンライン事務の方々を招き、参加者の悩み相談を行うなどし、仕事を始めるうえでの不安解消を進め、最初の案件獲得を後押ししました。

その結果、「しずワーカー」が新たに135名誕生。
うち101名は講座終了後も継続して活動を続け、ランサーズ上で高い実績を上げる人も出てきました。
講座受講生による自主的な交流会や勉強会も開催され、孤独になりがちな地方フリーランスが地域で仲間を見つけるきっかけにもなりました。

事業が大きく飛躍したことをふまえて、講座のサポートや地域コミュニティの運営、仕事のマッチング支援など、今後の運営をサポートする事務局メンバーの育成を進め、次年度や事業終了後を見据えた活動を行いました。

地域の“自走”に向けてリーダー育成、地域の企業とのマッチングも推進

最終年度である2025年度は、ワーカーの育成に加えて地域リーダーの育成、企業とのマッチング機会創出など、事業終了後も地域主導で取り組みを継続でき、地域内で仕事がまわっていく、“自走”可能なエコシステムの構築に力を入れました。

<2025年度の主な取り組み>
・きっかけセミナー
・スキルアップ講座「SNS」「クライアント対応」
・地域コミュニティづくりオンラインミートアップ
・全地域共通セミナー「セルフブランディング」
・フリーランス座談会
・地域リーダー研修
・地域ミートアップ
・フリーランス個別相談会

地域を引っ張る人材を育成、4地域で企業とのマッチングイベントも実施

2年間の取り組みで「新しい働き方」への関心が高まり、「きっかけセミナー」には約530名、「スキルアップ講座」には約400名の応募がありました。

講座は受講生に人気の高い「SNS」に加えて、地域の“自走”に向けて企業とワーカーをつなぐスキルを身につける「クライアント対応」講座を新設。「しずワーク地域運営事務局」を置き、昨年度までの受講生の一部が事務局メンバーとして参画し、身近なロールモデルとして、また同じ地域の仲間として、きめ細やかな伴走支援を行いました。

さらに地域内でハブとなる人材を増やすため、希望者に「地域リーダー研修」を提供。ランサーズの企業窓口担当者からOJTを受けて、企業対応の実務を学んでもらうなど、ワーカーだけでなく、仕事の仲介やコミュニティの牽引を担う人材の育成に注力しました。

また地域でのつながりづくり、仕事の創出に向けて、静岡市、三島市、下田市、掛川市の4拠点で、ワークショップ形式の「全地域共通セミナー」、地域内で仕事を探しているワーカーと仕事を依頼したい企業のマッチングイベント「地域ミートアップ」を開催しました。

地域の企業に対しても、プロ人材活用を促す取り組みを実施。静岡銀行、富士信用金庫、清水銀行とそれぞれ業務提携し、プロ人材活用のメリットや事例を紹介するセミナー、人材の選定サポートなど行いました。(ランサーズ「静岡県・静岡銀行と外部人材活用の共催セミナーを開催」)
静岡県内の団体、金融機関、事業者などと幅広く連携し、「しずワーカー」と企業の双方を手厚くバックアップしました。

3年間で「新しい働き方」が浸透。事業をきっかけにワーカー・企業が新たな一歩

周知から人材育成、地域の“自走化”まで多岐にわたる取り組みの結果、多数のワーカーが誕生、地域コミュニティが形成されるなど、3年間の事業でさまざまな成果を上げることができました。

毎年100名が講座受講、ワーカーの定着率は全国平均を上回る

▼公式LINE登録者数は3年間で約4.8倍
「しずワーク」の公式LINE登録者数は、2023年度の196名から2025年度は954名と約4.8倍になり、
急速に認知が拡大しました。

▼毎年100名以上が講座を受講
スキルアップ講座は定員を超える応募があり、2023年度100名、2024年度120名、2025年度141名が受講、地域で活躍する人材を安定的に育成できました。

▼全国でも高い定着率
取り組みをきっかけにお仕事を始めた人は、2023年度111名、2024年度135名、2025年度118名に。75%が活動を続けており、定着率は全国平均を大きく上回っています。

▼地域で仕事の受発注ができる体制構築
静岡・三島・下田・掛川の各地域で、企業とワーカーのマッチング会を実施。
さらに企業対応の窓口を担う地域リーダーを育成し、事業終了後も地域で人材育成や案件の受発注が自律的に進む体制を構築しました。

ワーカー誕生だけじゃない!企業も続々とプロ人材活用をスタート

本事業ではワーカーだけではなく、県内の企業にも「新しい働き方」について理解を深めてもらえるように働きかけを行いました。
その結果、一部の業務を特定のスキルを持った人材に委託する「プロ人材活用」に乗り出す企業が相次ぎました。

ランサーズ上で、静岡県内の企業が発注・成約した案件数は2023年はゼロでしたが、2024年に5件、2025年に17件まで伸び、3ヵ年の事業全体では合計22件に達しました。

企業にとっても、「プロ人材活用」という発注の選択肢を知る機会となり、事業終了後も継続して活用を続けている企業も少なくありません。

ワーカーコミュニティ「しずフリ」誕生!“つながり”は広がっていく

セミナー参加者、講座受講生、LINE登録者などの「しずワーカー」は、オンライン・対面のイベントやチャットで交流。一部のワーカーは自主的に勉強会やオフ会を開催し、「新しい働き方」を目指す仲間として事業終了後も交流を続けています。
また「しずワーク」の枠を超え、静岡県内のフリーランスが基本的に誰でも集えるコミュニティとして、Slack上の無料コミュニティ「しずフリ」も立ち上がり、さまざまな情報交換・交流の場として活用されています。すでにメンバーがリアルな場で集う「オフ会」が開催されたほか、「note」での情報発信、AI勉強会、趣味やスキルに合わせた部活動なども動き出しています。
メンバーの中には、以前はインターネットの利用に不安感を持っていたところ、講座参加をきっかけにZoomやチャットを使えるようになり、「しずフリ」参加後はAI活用にまでチャレンジするようになった方もいます。

事業は学びや仕事獲得の機会となっただけでなく、個人の成長、コミュニティ形成による居場所づくり、地域の魅力アップにもつながっています。

「しずフリ」紹介note:https://note.com/shizufree
「しずフリ」参加ページ:https://angry-empress-a39.notion.site/SHIZUFREE-32744e8dca3b80968137d89d1d6fbc13

「新しい働き方」の浸透で、地域はもっと魅力的に

本事業は年月を重ねるごとに注目度が高まり、参加者が増え、ワーカーとして歩み出す人も増えていきました。
住み慣れた地域で、憧れの土地で、自分に合った働き方をして生活していく。地域で孤立せず、共通項を持った人同士でつながる。地域企業が必要なスキルを持つ地域人材と出会い、事業を成長させていく。
こうした環境が整うことで、地域はもっと魅力的になるはずです。
静岡県の事業が「新しい働き方」を軸とした地域のモデルとして発展していくことが期待されます。

▶️文:ひろみね
元報道記者でライティング歴は10年以上。企業の導入事例・採用インタビュー記事、企画コンテンツなどを多数執筆。記者・ライターの視点を活かして企業の広報・PR活動にも従事している。
https://www.lancers.jp/profile/Merry5

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