地方創生の取り組み
セミナーレポート
事例紹介
福島県南相馬市は、1,000年以上の歴史があり「世界一の馬の祭典」ともいわれる「相馬野馬追」で有名な街です。歴史があり自然が美しい南相馬市も、地域企業は人材の獲得が課題。クラウドソーシングの活用には、不安と期待が入り混じった想いをお持ちでした。そこで、南相馬市とランサーズのタイアップでスマート経営説明会を実施。副業解禁や働き方改革など時代が急速に変化する中で、スキルある外部人材の活用やDX推進など新しい人材戦略へのアップデートを模索しました。
スマート経営とは、外部人材を上手に活用すること。データ入力など補助的なスタッフはもちろん、「プロ」として働くフリーランス人材のスキルを、ほしいときにほしいぶんだけ取り入れられます。経営経費の削減にも、また自社にはない視点からの気づきを得るのにも有効です。
南相馬市の方々は地元のつながりや人とのふれあいを大変大切にされています。ですから、コロナ禍でもリアルでの開催をずっと模索されてきました。ただ、緊急事態宣言下ですので他県の往来は避けました。
その結果、セミナーは、ファシリテーターが福岡県、長野県、奈良県からリモートで登壇、現地企業はコワーキングスペースに集まるというハイブリッド形式で実施。オンラインでの実施は各地から登壇者を集めることを容易にし、リアルでの語らいは地元企業の結束を固めました。
【開催概要】
▶︎日時:
Day1:2021年2月10日(水) 16:00-18:00
これからの人材活用を学ぶ「スマート経営セミナー」
Day2:2021年2月17日(水) 16:00-18:00
「自社ならではの外部人材活用法を考える」ワークショップ
Day3:2021年2月24日(水) 16:00-18:30
フォローアップ会
▶︎ファシリテーター:
Day1およびDay3:
桂 浩一(Growthfree代表)&篠原智美(ランサーズ株式会社)
Day2:那波りよ(フリーライター)&篠原智美(ランサーズ株式会社)
Day1~Day3:現場フォロー:渡部尚紘(マチ・ヒト・シゴトの結び場NARU)
▶︎会場:
ZOOM+現地開催@マチ・ヒト・シゴトの結び場NARU(ナル)
▶︎主催:南相馬市、ランサーズ株式会社
Day1ではスマート経営の概要と、実際の事例を説明。登壇したファシリテーターの地元である九州の企業や、福島県の事例、また山梨県小菅村の事例もピックアップ。参加社の土地勘のある地元企業と地域外の会社の2つの視点から外部人材活用をご紹介しました。
コスト面では、「なるべく地域人材を活用して地域を活性化したい思いはある。でも、“採用”は重たく、月20万円の人を1人雇う年間240万円は会社にとって本当に投資する価値があるかと自問してしまう」という登壇者の言葉には深く頷く方も。その点、数万円から地元人材を活用できるスマート経営に活路を見出す企業は増えてきています。「小さい仕事から信頼を積み重ねていくことは、企業にとってもフリーランスにとってもいいこと」との発言は納得感がありました。
その他「プロモーション系の仕事は、質の高いプロに頼むのがいい」「外部人材は職場のいいカンフル剤になる」「会社の理念に共感して経験を積みたい人と出会えるとうまくいく」など、実際の経験に基づいたスマート経営のノウハウが語られました。
事例の中で印象的だったのは、外部人材活用で満足度の高い結果を得るコツは、業務を丸投げせず定期的なコミュニケーションをとることが重要との発言。自社人材との連携を促すことで事業や活動の循環を生み出し、事業の推進が加速するとのこと。外部パートナーとも事業ビジョンや計画の共有がおすすめです。
また「スキルだけでないプロフェッショナルの定義とは?」との質問には、各登壇者から「企業の課題解決をする人」「やり切る人」「約束を守る人」「金額分の結果を出す人」などであると回答。プロのなかでも仕事クオリティの高低などレベル感はあるので、社員採用と同じで相性やスキルなどがマッチングすることが重要とのアドバイスも。
参加企業の「アウトソーシングすることは、受けてくれる人の人生も良くすることだとわかった。それを考える楽しさもあると知った」という気づきは、フリーランスにとっても嬉しい一言でした。
Day2はワークショップとして、参加社のみなさんの頭と手と口をできるだけ動かしてもらえるプログラムにしました。Day1で学んだ事例を参考に、「自社ならどうするか?」を具体的に模索。自分で考える→他企業とシェアする→全体に発表することを繰り返し、「なんとなく」考えていたものを明確化していきます。
「自分しかできない仕事とは?」という設問には、事業計画づくり、営業、制作物のディレクション、講演などがあがりました。逆に「外注できそうな仕事とは?」との設問には、掃除、SNS更新、フォームの作成と報告、チラシなどの制作、経費精算、スケジュール調整などと続々。外注には「誰がやっても同じクオリティを保てること」もしくは「頼めばクオリティが高くなりそうなこと」が向いていると実感されたようです。
トラブルを想定するワークでは、納期遅れの危険性を多くの方が感じていることがわかりました。また機密情報が洩れたリアルなトラブル事例も登場。外注先と仲良くなっても、お互いを守るために契約をしっかりすることは重要であり、募集時に条件を明示することがトラブル防止になるとの気づきがありました。
Day3は「フォローアップ会」とし、希望者からの相談を受けました。セミナー後も約1か月半の伴走サポートを行い、発注作業をともに行う「発注チャレンジ」を実施。きめ細やかなサポートに支えられ、「いいランサーさんと出会いたい」と、参加企業の9社中5社が前向き初発注を体験されました。
発注された業務は、自社の活動報告チラシ・パンフレット作成、ロゴ作成など。依頼に対して26人から応募がきた案件もありました。発注体験をした企業さまからは「こうしてデザインされたものが送られてくること、気持ちをこめて作ってくださったことに感激しています」「業務の切り出しや相場観などが分からずなかなかチャレンジできていなかったが、発注支援もあったため試してみることができた」、「初めてランサーズを使いましたが、多様なデザインで質の高い提案が集まり本当に感謝しています。ブランディング自体を深く考える機会になり、気付きや学びがありました」などのお声をいただけ、提案の質の高さへの満足、企業さまご自身の学びの様子などもうかがえました。
昨年度より参加企業も大きく増えた今回の説明会。今回の企業さま方を成功モデルとして、来年度以降もさらなる展開が広がっていきそうです。
▶︎文:那波りよ
塾講師・実務翻訳者・広告代理店勤務を経てフリーライターに。取材記事を得意とし、関西を中心に活動中。
https://www.lancers.jp/profile/dolphy73
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